平成15年度住宅土地関連税制改正要望 関連データ
1.住宅取得資金贈与の特例の現況と効果の考察について
2.住宅ローン利子の所得控除制度と現行住宅ローン減税との比較
3.法人又は個人事業者の建設に係る賃貸住宅投資減税について
4.住宅取得時の税及び諸費用の日米比較
5.既存住宅の取得時における築年数区分について
6.消費税の各国比較
7.固定資産税の抜本見直しについて
8.その他
1.住宅取得資金贈与の特例の現況と効果の考察について
(1) 住宅取得資金の贈与の現況
・贈与の割合と金額(住団連・「戸建注文住宅の顧客実態調査」より)
2000年度 2001年度
資金贈与の割合 15.2% 21.1%
平均贈与金額 498万円 576万円
税制、住宅取得資金贈与の特例 5分5乗方式
贈与税基礎控除60万円
非課税限度額300万円
一時取得者に限る
5分5乗方式
基礎控除110万円
非課税限度額550万円
住み替え・建て替えもOK
・贈与金額の分布


(2) 住宅投資へ与える効果の考察
―住政策研究所・住宅投資研究会 中間報告より―
(i)世帯人員と平均贈与額(三大都市圏)
 世帯人員   贈与世帯比率   平均贈与額   サンプル数 
1人 14.3% 280万円 35 
2人 11.2  666   330 
3人 13.1  559   511 
4人 11.1  504   728 
5人 12.9  489   350 
6人 14.9  395   195 
7人 20.6  425   68 
合計 12.5  517   2,229 
(ii)贈与と世帯属性の分析結果
 [1] 住宅贈与受領世帯は、高所得世帯ほど少なく、年齢に依存する。特に、世帯主の年齢が25歳から44歳にかけて最も贈与される確率が高く、この年齢の範囲内であっても、その確率は年齢とともに減少する。
 [2] 単身者世帯の方が、贈与される確率は少ない。
 [3] 同居であると、贈与の確率が高くなる。
従って、贈与非課税枠の上限の引き上げと所得制限の撤廃は、年収がそれほど高くない若年層への贈与が拡大し、かれらの住宅投資額が増加すると推察される。
(iii)住宅投資への影響
日本の三大都市圏では、贈与が1%増加すると、借入額は変わらないまま、狭義の自己資金が0.559%減少し、住宅取得費は0.441%増加する。
2000年度の贈与利用世帯は、自己資金比率は13%上昇し、建築費は3.85%、 床面積は3.9%増加したと考えられる。


(3) 参考:アメリカでの実証研究
  「世代間移転および借入制約、貯蓄行動について、住宅市場からの実証」
( Gary V.Engelhardt 1998年)
一次住宅取得層を対象とした贈与に関する貯蓄行動を中心に、その効果について分析されている。
(分析結果)
 (i) 必要な頭金を貯蓄する時間が贈与を受けない場合よりも9〜20%ほど短くなる。
 (ii) 贈与1ドルに対し、全体の貯蓄行動は29〜40%低下し、頭金の支払いは61〜71%上昇する。
 (iii) 贈与をうけた者はより高い住宅を購入する。ただし、贈与額を最大限に活用した場合の金額より低めの効果となる。
 (iv) 贈与は、世帯が一定の頭金の率を達成することにより、より好ましい住宅融資条件を確保するのに役立つ。

(贈与はいかに配分されるか)
2.住宅ローン利子の所得控除制度と現行住宅ローン減税との比較
(視点)
住宅は国民生活の基本的な生活基盤
住宅取得意欲の積極的、持続的活用
金利変動に対する弾力性

(住宅ローン減税 平成15年12月まで) (住宅ローン利子の所得控除制度)
税額控除方式 所得控除方式
期間限定措置 恒久的措置
1戸のみ 2戸目も対象


3.法人又は個人事業者の建設に係る賃貸住宅投資減税について
(1) 目的
 団塊の世代のフアミリー形成期を迎え、きわめて需要の旺盛なフアミリー向け賃貸住宅の供給を促進し、その良質化を図ることは、日本経済の実体経済を刺激・活性化させるのみでなく、少子高齢社会にあって、住宅選択の巾を広げ、明るく快活な社会の実現に寄与する。


(2) 具体的方策
・対象となる賃貸住宅
 イ) 一戸当り床面積:60m2以上
 ロ) 長期耐久性、省エネルギー性等に優れた賃貸住宅
   (品確法による一定の住宅性能表示基準をクリア)
・方策:賃貸住宅投資額の5%を税額控除する。


(3) その社会的効果
(i) “子供を育てる貸家”として少子化対策に役立つ。(少子化対策)
(ii) 賃貸経営側では、効果的な資金運用となり、賃貸経営の魅力が増す。(資金流動性)
(iii) 利便性の高い場所がより効果的に利用される。(土地活用)
(iv) 投資減税は、一定の条件を付与することにより、住宅の規模・質の向上の動機づけとなる。(住宅の良質化)
(v) 住宅は、その長期耐久性の故に、長期間の住宅サービスの提供と地方税収の増に寄与する(地方財政)


(4) 経済波及効果と税収効果
項目 内容
経済波及効果 ○戸数増 45万戸(2003年見通し)に対し
  賃貸住宅 6万4千戸(14.2%増)増加
○投資額 7,680億円+耐久消費財購入 270億円
  最終需要・生産誘発効果 1兆5600億円
○GDPを0.15ポイント押上げ、雇用増10万9千人
税の減収 ・投資額の5%の税額控除
 見通し分(17.7%)886億円+増加投資7,680億円
             ×5%= 合計428億円
増加する税収 消費税 384億円+登録免許税等 35億円+その他の法人税・所得税 328億円+固定資産税・都市計画税(5年間分)240億円
合計987億円
差引き税収
(税収効果)
559億円の増収


(5) 賃貸住宅の現状
(ストックの状況) 一戸当り床面積は、60m2以上は約2割(19%)
(フローの状況)
 平成12年度貸家新設着工 418,200戸の規模別内訳
一戸当り面積 〜40m2 41〜50m2 51〜70m2 71〜100m2 101m2
着工数 144,494 60,319 130,852 72,092 10,441
% 34.6% 14.4% 31.3% 17.2% 2.5%


(6) 各国の賃貸住宅建設施策
名称 内容
フランス (1)新築貸家住宅の取得控除
(1990.1〜)



(2)不動産所得における新築貸家住宅に係る概算経費控除の増額
新築の貸家住宅を取得又は建築する者に対し、取
得費の10%を税額控除する。(所得税)
限度額は夫婦60万フラン、独身30万フラン
条件は6年間賃貸の用に供されること。

新築貸家住宅の取得控除 総収入の25%計上
 通常の不動産所得の概算経費控除額は、総収入
の8%計上。(管理運営事務費、保険料、減価償却
の見積り費)
イギリス 民間借家供給促進税制
(1988〜)
賃貸住宅を供給する非上場企業への投資に対し、
投資額(限度:4万ポンド)に税率を乗じた額を税額
控除する。(個人投資家向け)
アメリカ 低所得者用住宅税額控除制度
(Low Income Housing Tax Credit)
民間又は非営利団体が低所得者用の住居を含む住
宅開発を行う場合の連邦支援措置。各州毎、人口
に応じて予算配分。建設コストの70%(補助なし)
又は30%(補助あり)を10年間、税額控除。
4.住宅取得時の税及び諸費用の日米比較


日本 千円   アメリカ 千円 (米ドル)  
住宅取得時の税負担 2,040 3.3% 住宅取得時の税負担 490 (4,068) 1.2%
 (1)不動産取得税
 (2)消費税・地方消費税
 (3)登録免許税
 (4)印紙税
129
1,480
366
65
   (1)不動産譲渡税
 (2)抵当権登記税
164
326
(1,356)
(2,712)
 
住宅ローン諸費用等 900 1.4% 住宅ローン諸費用等 660 (5,485) 1.6%
 (1)保証料
 (2)司法書士手数料
 (3)損害保険費
716
100
84
   (1)融資費用
 (2)弁護士事務費用
 (3)鑑定費用
 (4)公証人他
 (5)損害保険料
285
60
39
133
143
(2,373)
(500)
(325)
(1,099)
(1,188)
 
合計 2,940 4.7% 合計 1,150 (9,533) 2.8%
住宅価格(土地・建物) 62,500   住宅価格(土地・建物) 40,680 (339,000)  
ローン額 3,320万円   ローン額 3,254万4千円  
年利 3%
35年返済
  年利 7.875%
30年返済
5.既存住宅の取得時における築年数区分について
○多くの住宅土地税制において、築年数により取扱いが異なる
○区分は、木造等が築20年超、耐火建築物が築25年超である。


区分 木造等築20年以内
耐火建築物25年以内
木造等築20年超
耐火建築物築25年超
住宅ローン減税 適用あり 適用なし
住宅取得資金の贈与の特例 適用あり 適用なし
不動産取得税
の控除額
新築 1200万円控除
新築時期により
 230万円〜   1000万円控除
適用なし
登録免許税  
 所有権の保存登記 1.5/1000 6/1000
 所有権の移転の登記 3/1000 50/1000
 抵当権の設定登記 1/1000 4/1000
注)10年超所有かつ居住の場合の買い換え特例の対象となる買い換え
  資産には、耐火建築物の築25年超は適用なし。
(区分廃止のメリット)
  1. 既存住宅流通市場の拡大と活性化に寄与する。
  2. 既存住宅の評価を単なる築年数のみでなく、活用できる使用耐用年数で判断するようになる。
  3. 長期耐久性のある住宅建築へのインセンテイブとなる。
6.消費税の各国比較
 消費税(付加価値税)において、住宅取得に関し欧米各国では住宅政策上その取扱いに配慮が見られるが、配慮されていないのは日本のみである。
 特に、欧米では、不動産取得税等と付加価値税との重複課税は避けられている。


  日本 イギリス ドイツ フランス カナダ アメリカ
施行
施工時の税率
徴収方法
1990年
3%
 帳簿記載 
1973年
10%
インボイス方式
1968年
10%
インボイス方式
1968年
13.6%
インボイス方式
1991年
7%
インボイス方式
国税ではなし
現行税率

軽減税率
5%


17.5%

5%  ゼロ
16%

7%
19.6%

5.5%
7%(連邦)


8.25%(NY市)


住宅の新築 課税 ゼロ課税 課税 非課税
(注1)
課税
一部還付あり
非課税
新築住宅の
購入
課税 ゼロ課税 非課税 課税(築5年以内の最初の譲渡)
軽減税率
(注2)
課税
一部還付あり
非課税
既存住宅の
購入
課税
但し個人間取引は非課税
非課税 非課税 非課税 非課税 非課税
増改築・修繕 課税 課税 課税 軽減税率 課税 非課税
備考 不動産取得税、登録免許税との重複課税あり 印紙税との重複なし 不動産取得税がかかるもはVATなし TVA課税の場合、不動産公示税は0.6%になる。   小売税
NY州 4%
地方税
1.5〜4.5%
(注1) フランス2000年度改正
 新築であっても、個人利用のための持家住宅建設やそのための土地購入は、TVAの対象でなくなり、不動産公示税の対象となり、不動産公示税等の合計4.89%が課税されるようになった。
(注2) PAP(持家援助貸付け)を受けた住宅などの場合
7.固定資産税の抜本見直しについて
(1) 固定資産税額の推移
(単位:10億円)
  S55(1980) H2(1990) H11(1999) H11/H2 H11/S55
土地部分 1,191  2,370  3,798  1.60  3.19 
建物部分 994  2,350  3,681  1.57  3.70 
償却資産 599  1,302  1,764  1.35  2.94 
固定資産税額 2,784  6,022  9,243  1.53倍 3.32倍
市町村税割合 33% 34% 45%    
都市計画税(1兆3747億円)を合わせると、市町村税収20兆4399億円の52%を固定資産税・都市計画税で占めるに至っている。(平成11年度)
納税義務者は建物:3541万人、土地:3708万人、償却資産:409万人に及ぶ。


(2) 建物の固定資産税の問題
 
(i) 見直しの視点
 建物の固定資産税については、住宅を始めとした建築投資を促進し、阻害しないようにするという視点良質な住宅ストックを構築していくという視点から、軽減に向けての抜本見直しを行うべきである。
(ii) 具体的な検討項目
・非住宅と住宅、事業用と自己用など、用途別での見直し
・住宅における、長期耐久性、省エネルギー等に配慮された住宅の割引制度の導入
・再建築価格×経年減点補正率の現行評価方法及び税率の見直し
(iii) 具体的提案
(提案A)省エネルギー住宅等への割引制度の導入のケース
用途別 非住宅 住宅 住宅
事業別 事業用建物 事業用建物 居住用建物
基本課税率 1 0.9 0.7
特別割引率20%
長期耐久性・
省エネルギー性
0.8 0.72 0.56
(メリット)省エネルギー住宅等に配慮された住宅の普及促進となる。
(提案B)評価方法の外形化
構造別・用途別に1m2当り平均値を算出し、設備の多寡や構造の質に関係なく、面積のみで評価額を決定する。
(メリット)・質の向上、エレベータの設置などの住宅投資額の増加に対する税負担が緩和され、建物の質への投資が促進される。
・算出方法の簡便化により、納税者にわかりやすくなる。


(3) 土地の固定資産税の問題
(商業地等の現行)
平成6年の公示価の70%基準により、経過措置として「負担水準」が導入される。
平成14年度 商業地等 70%・・相当課税標準
          60〜70%未満・・すえおき
          60%未満・・1.025(40〜60%未満)〜1.15(10%未満)
負担水準=前年度の課税標準額/その年度の評価額×100(%)
(住宅用地の現行)
平成14年度 住宅用地 負担調整措置 80%・・すえおき
          80%未満・・1.025(40〜80%未満)〜1.15(10%未満)
住宅用地特例率 1/3 小規模住宅用地特例率 1/6

(要望)
商業地等の負担水準の上限70%を2割引き下げ、55%とする。現行負担水準並みとする。

(参考)
1)全国商業地平均負担水準の平成13年度は57.7%。(現状維持水準)
2)実効税率 昭和52年度(バブル前最高)0.46% 平成13年度 0.6%

【土地の収益性からみた税負担の適正水準】
土地の収益力 2% と想定すると
 固定資産税の実効税率 約1%(70%×14/1000) は、粗利の50%
 負担水準の上限 55%とすると、税率 0.55%となり、粗利の27.5%
8.その他、減税規模等の内外比較について
(1) 租税特別措置による減収額
  租税特別措置による減収額(19,420億円)の内訳(平成14年度ベース)


(2) 各国の国家予算に占める住宅予算の割合
 


(3) 日米の金融・税制優遇策の比較